拝啓 お母様へ
 
 こちらはもう雪の降る季節となっています。
 お母様の居る所はどうでしょうか? 雪は降りましたか?

 僕は初めて友人というものが出来ました。
 温かい笑顔の持ち主で、冬に咲くヒマワリのように、僕に勇気を与えてくれる人です。
 悴む手を温めてくれると友人は僕にとってとても愛おしくて、お母様と同じくらい大切に思っています。

 僕を負かせた彼、お母様が勝負を託した彼は馬鹿みたいに優しくて、その優しさ故の強さを持っています。
 僕はまだ、お母様や彼のような強さはまだ持っていません。
 ですが、彼の隣で芽を出した僕は、今も成長途中です。
 やっと子葉が出た位には成長する事が出来ました。
 ゆっくりですけど、僕は僕なりに育っていっているつもりです。
 ですから、この先、ずっと先になってしまうかもしれませんが、もし僕が彼の隣で花を咲かせる事が出来た時には、お母様もまた逢いに来て下さいね。
 あの庭園で、僕はずっと待っています……――

敬具
 
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