あの日のヒマワリ君に会う事はあれから4年間、一度もなかった。
毎年ヒマワリの時期には庭園に行っていつかのお礼を言おうと待ってみるけれど、それでも彼は一度もそこに現れない。
何処の誰かも知らない子なのだから、再会出来る方がおかしいけれど。
彼から貰ったヒマワリは夏が終わると枯れてしまったけど、沢山の種子を残してくれたから、僕はその種子をまた植えた。だからヒマワリは今も変わらず僕の元で生きてくれている。
だけれども、そんなヒマワリとは裏腹に、変わらないままを願っていたものは次々と姿を変えて行った。
まず第一は父だ。
母の死をきっかけに、父は変わってしまった。
元々寡黙な人ではあったけれど、時々見せていた笑顔はすっかり枯れてしまった。鋭い瞳は息子を見る目なんかではなくて、温かさなんて微塵も感じられない。父は、きっと行き場の無くなった気持ちをどうすればいいのか分からなくて、お母様の居なくなったこの世界でずっと彷徨っているのだろう。
ヒマワリのように真っ直ぐである事は難しいのだと思う。 人と人との関係も、その人自身も。
そして、僕もきっと変わってしまった。
お母様との約束なんてもう終わったと思っていいのに、相変わらず僕は勝利を手にし続けている。時には自分を殺し、仲間を殺し、心を鉄に変えながら。勝利を手にする僕なら、父も離れていかないし、お母様だって褒めてくれるに違いない。例えそこに僕の心が無かったとしても。
拝啓 お母様
お母様、今日も僕は負け知らずです。
明日も明後日も、いつまでも、僕は負けを知らないで生き続けるんでしょうか。
人間は敗れて初めて成長するものだと、昔、誰かが言っていました。
僕の成長はいつから止まったのでしょうか。
本当は、誰かが僕に刻んでくれるのを、心の何処かで期待しているんです。
でもその誰かは、お母様以外考えられないんです。
今日からWCが始まります。
僕は嘗てのチームメイトと戦う事になるでしょう。
彼らは着実に成長しているみたいです。純粋に優勝を目指して仲間と、戦っています。
……それでも今日も僕は勝ち続けます。
彼らの前に立ち塞がる事、僕の勝利は意味の無い物であっても、彼らの敗北はきっと彼らにとって成長の糧になるでしょうから……。
毎年ヒマワリの時期には庭園に行っていつかのお礼を言おうと待ってみるけれど、それでも彼は一度もそこに現れない。
何処の誰かも知らない子なのだから、再会出来る方がおかしいけれど。
彼から貰ったヒマワリは夏が終わると枯れてしまったけど、沢山の種子を残してくれたから、僕はその種子をまた植えた。だからヒマワリは今も変わらず僕の元で生きてくれている。
だけれども、そんなヒマワリとは裏腹に、変わらないままを願っていたものは次々と姿を変えて行った。
まず第一は父だ。
母の死をきっかけに、父は変わってしまった。
元々寡黙な人ではあったけれど、時々見せていた笑顔はすっかり枯れてしまった。鋭い瞳は息子を見る目なんかではなくて、温かさなんて微塵も感じられない。父は、きっと行き場の無くなった気持ちをどうすればいいのか分からなくて、お母様の居なくなったこの世界でずっと彷徨っているのだろう。
ヒマワリのように真っ直ぐである事は難しいのだと思う。 人と人との関係も、その人自身も。
そして、僕もきっと変わってしまった。
お母様との約束なんてもう終わったと思っていいのに、相変わらず僕は勝利を手にし続けている。時には自分を殺し、仲間を殺し、心を鉄に変えながら。勝利を手にする僕なら、父も離れていかないし、お母様だって褒めてくれるに違いない。例えそこに僕の心が無かったとしても。
拝啓 お母様
お母様、今日も僕は負け知らずです。
明日も明後日も、いつまでも、僕は負けを知らないで生き続けるんでしょうか。
人間は敗れて初めて成長するものだと、昔、誰かが言っていました。
僕の成長はいつから止まったのでしょうか。
本当は、誰かが僕に刻んでくれるのを、心の何処かで期待しているんです。
でもその誰かは、お母様以外考えられないんです。
今日からWCが始まります。
僕は嘗てのチームメイトと戦う事になるでしょう。
彼らは着実に成長しているみたいです。純粋に優勝を目指して仲間と、戦っています。
……それでも今日も僕は勝ち続けます。
彼らの前に立ち塞がる事、僕の勝利は意味の無い物であっても、彼らの敗北はきっと彼らにとって成長の糧になるでしょうから……。
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